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「住宅市場に起きている変化と、これからの住宅会社の生き残り戦略」

■住宅着工戸数の激減とその背景
2023年・2024年、日本の住宅着工戸数は大きく減少しました。それに伴い、休業や廃業に追い込まれる住宅会社も残念ながら現れました。住宅業界にとっては非常に厳しい時代となったといえるでしょう。

一方で、日本の世帯数は2030年ごろまで緩やかに増加すると予測されています。つまり、住まいを必要とする人そのものが激減しているわけではありません。それでもなお住宅着工が落ち込んだのは、複数の外的要因が複雑に絡み合った結果と考えられます。

主な要因はインフレです。建材や資材の価格が高騰し、職人の人工(にんく)費も上昇。エリアによっては地価も上がり、結果として住宅販売価格が大きく跳ね上がりました。一方で、実質賃金の上昇は限定的で、住宅取得へのハードルは以前よりも格段に高くなっています。この「住宅価格の高騰」と「所得の伸び悩み」のギャップが、住宅着工減少の根本にあるといえるでしょう。

■世帯構成の変化と住宅購入層のシフト
住宅需要に影響を与えているもう一つの大きな要因が、「世帯構成の変化」です。
世帯数そのものは増えているにも関わらず、住宅を購入する主要な層であるファミリー世帯(夫婦と子ども)の数が減少しているのです。

代わって増えてきているのが、単独世帯、夫婦のみの世帯、そしてひとり親と子ども世帯。
この変化は、家族のかたちや暮らし方が多様化していることを物語っています。当然、住まいに求めるニーズも以前とは異なってきており、従来型の間取りや広さ、立地条件などではニーズにマッチしないケースも増えています。

このような背景のもと、「家を建てる」という選択肢だけにこだわらず、中古住宅や賃貸住宅、マンションなど幅広い選択肢を視野に入れる人が増加。特に若年層においては、「土地を購入して注文住宅を建てる」というスタイルが、特別で贅沢な選択肢になりつつあるのです。

■住宅会社に求められる戦略とは
こうした環境変化の中で、住宅会社が生き残っていくためには、新築戸建て一辺倒のビジネスモデルからの転換が求められています。具体的には2つの方向性が重要になります。

ひとつ目は、注文住宅や建売住宅を選ぶことのメリットを、わかりやすく、継続的に発信していくことです。
高性能な断熱性、自由な間取り設計、最新設備による生活の快適性など、新築だからこそ得られる価値を住まい手にしっかり伝える姿勢が必要です。

ふたつ目は、住まい手の多様なニーズに対応できる「住まいの総合窓口」としての立ち位置を築くことです。
リフォーム・リノベーション、中古物件の仲介、賃貸運営のサポートなど、事業の多角化が鍵を握ります。住宅市場の縮小が見込まれるなかでも、異なる需要の中で新たな収益源を確保する柔軟な戦略が、これからの住宅会社には不可欠となるでしょう。

■今すべきマーケティング戦略とは
住宅会社が多角化や価値提案に取り組む中で、欠かせないのが「WEBブランディング」です。
ホームページやSNS、口コミなどを通じて、企業の印象や信頼性が形づくられる時代においては、単なる情報提供ではなく、「どんな想いで、どんな住まいを提案しているのか」を伝えることが重要です。
特に大切なのは、他社との違いをお客さまにしっかりと“伝わるかたち”で届けること。
自社の強みや価値観を明確に言語化・ビジュアル化し、住まい手の心に届くよう表現することで、選ばれる理由を育てていくのです。

ニーズが多様化するなかで、共感や信頼を得るためには、単なる商品説明ではなく、「この会社だからお願いしたい」と思ってもらえる存在感が求められます。それこそが、これからの住宅会社に必要なWEB戦略の核心です。

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JYU

JYU

住宅会社専門WEBコンサルタント。 2歳の息子を持つ子育て世代真っ盛りのドンピシャペルソナが 集客・反響数に特化した戦略的なホームページ活用方法を紹介します。

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