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「配属ガチャ」か「新卒ガチャ」か

師走。今年の春に入社した新卒は皆、会社に残っているだろうか。近年は4月に入社したばかりにも関わらず、配属先が自分の希望が反映されていないからと、「配属ガチャ」を理由に退職する人もいるという。しかし、採用担当者からすると、企業説明会やら面接やら時間とお金をかけて入社した社員が、入社日に辞められるなんて「新卒ガチャ」だと愚痴りたくもなるだろう。

残念ながら、新卒は3年以内に3割以上が辞める。厚生労働省の調査によると、2020年3月に卒業した新卒就業者の3年以内離職率は、高卒が37.0%(前年度比1.1ポイント増)、大卒が32.3%(同0.8増)となっている。今や、人手不足により空前の売り手市場だ。2021年卒、2022年卒の方が、1-2年目までの離職率は上がっており、3年以内離職率は更に高くなっていくと予想される。


特に会社規模が小さいほど、離職率は高まる傾向にある。2022年卒の数値を見ると、5人未満の企業では、高卒は1年以内に35.5%、大卒は同30.2%が辞める。1,000人以上の企業では、高卒は11.0%、大卒は8.1%しか辞めない。かなりの差がついている。

大企業と中小零細企業では入社する社員の資質が違うのもあるが、受け入れる中小企業側にも大きな課題があるだろう。1人も辞めない会社が良いというものではないが、優秀な人が辞めない会社にしなければ、会社は立ち行かない。優秀な社員が残りたいと思う会社にするために、中小の住宅会社には何が出来るのか。

ゆるブラック

新卒でも中途採用でも、人手不足の今では採用できた社員を辞めさせないように、過度に丁重に扱う風潮がある。何かあれば「〇〇ハラ」となるのが怖くて、必要以上に新入社員を遠ざけていないだろうか。

数年前から使われるようになった「ゆるブラック企業」という言葉がある。ブラック企業のような長時間労働やハラスメント、低賃金などの問題はないが、働きがいが持てない企業を指す。理想は、働きやすく力もつくホワイト企業だが、現実は難しい。とりあえず世間の風潮に合わせて働きやすさだけを追求すると「ゆるブラック企業」となる。

エン・ジャパンが2023年に社会人を対象に行った調査で、勤めている企業がゆるブラック企業だと思う人は27%、そう思う理由は、「労働時間が適切だが、仕事で成長できないから」「仕事に見合った賃金だが、上がりにくいから」というものだ。

経営者からすると、労働時間を適切にして、仕事に見合った給与を払っているのに何が不満なのかと憤るかも知れないが、欲しいのは「働きがい」のようだ。

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ALEX

ALEX

住宅会社・工務店の経営コンサルタント。経営・人事・財務など、中小企業の経営面でのアドバイスを行う。

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