フリーランス新法?
2024年11月1日から「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」、いわゆる「フリーランス新法」が施行された。既に施行されたものの、法律の認知度は高くないようだ。公正取引委員会と厚生労働省が、フリーランス取引の状況についての実態調査を行ったところによると、フリーランス新法の内容を知らないという回答は、委託者側で54.5%、フリーランス側で76.3%に上った。特に建設業は知らない割合が高く、委託者側は80.2%、フリーランス側は90.9%が内容を知らない状態である(下図)。
フリーランスとは、法人格の有無に関わらず、従業員を使用しない個人の事業者のこと。住宅関連では、一人親方や個人事業の設計士が該当する。フリーランス新法は、下請法や建設業法よりも対象が広くなる。
なお、「従業員」とは、週の所定労働時間が20時間以上かつ継続して31日以上の雇用が見込まれる労働者を指す。この基準を満たさない短時間アルバイトを雇っている一人親方は、フリーランスに含まれる。
発注者に求められる義務
依頼する相手がフリーランスに該当する場合には、いくつかの義務が生じる。
まず、一人親方に発注する場合は、口頭ではなく書面またはメール等で、報酬額や支払日など取引条件を明示する義務がある。その支払日は、業務完了日から数えて60日以内とし、一度決めた期日までに支払う必要がある。
また1ヶ月以上の業務を委託した場合には、次の7つの禁止行為も定められている。
①受領拒否(注文した物品の受領を拒むこと)
②報酬の減額(あらかじめ定めた報酬を減額すること)
③返品(受け取った物品を返品すること)
④買いたたき(類似の市価に比べて著しく低い報酬を不当に定めること)
⑤購入・利用強制(指定する物・役務を強制的に購入・利用させること)
⑥不当な経済上の利益の提供要請(金銭、労務の提供等をさせること)
⑦不当な給付内容の変更・やり直し(費用を負担せずに注文内容を変更、またはやり直しをさせること)
その他、フリーランスが働きやすい環境の整備なども義務付けられている。
違反した場合
フリーランス新法に違反した場合は、公正取引委員会、中小企業庁長官又は厚生労働大臣から報告徴収・立入検査を受け、企業名の公表などが行われる場合がある。更に命令違反や検査拒否等があれば、50万円以下の罰金となる。
なお、工務店に所属する役員や従業員が行った場合、個人だけでなく法人も併せて罰せられる両罰規定がある。従業員が勝手にやった、では済まされないので、ご注意を。
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