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絞る集客

◆戻らない来場者

住宅総合展示場の来場者数が戻らない。2023年の来場組数は、コロナ禍で急激に落ち込んだ2020年より若干回復しているものの、コロナ以前の2019年と比較すると、23.3%減(住宅展示場協議会)。2024年も8月の段階では前年割れである。
総展の来場者数の減少は、コロナによる直接的な影響だけでなく、コロナ禍において定着した「来場予約」の影響もあるだろう。
単独のモデルハウスや完成見学会の開催においても、来場予約が一般的になった。見込み度合いに関わらず誰でも彼でも集客していた頃よりも、無駄な接客を減らすことが出来ている。事前に来場予約を受け付けることで、配置する営業担当者の時間を有効に使え、見込み度の高い来場者だけに接客時間を使える。集客の仕組みが出来ていれば、来場予約は有効な手段だ。

◆来場予約で30,000円

しかし、最近では来場予約に対するプレゼントのインフレが起きている。コロナ禍で来場予約が普及し始めた当初は、クオカード3,000円程度が相場だった。現在では、地域差もあるが、5,000~10,000円が目立つようになり、30,000円というハウスメーカーもある。
ネット広告の集客単価も上がっている。Google広告、Facebook、Instagram広告を利用する住宅会社が増加したことにより、近年のネット広告による集客単価が大幅に増加している。以前は、紙媒体(チラシや新聞広告)よりもネット広告の方が明らかに集客単価が安かったが、現在はネット広告を使う競合他社の増加や来場プレゼントのインフレにより、安価とは言えなくなってきている。
ぜひ、自社の集客単価の推移を見てもらいたい。数年前と比較して、名簿1件当たりの獲得単価が上がっていることに気付くだろう。

◆客を絞る

集客コストが増大し、人手不足感が強まる昨今、ますます重要になってくるのは「客を絞る」ことだ。
最終的に契約しない見込客に時間をかけるのは勿体ない。スムーズに契約まで進む客層は、自社の考え方に少なからず共感してくれている。住宅のデザインや性能、断熱、空調に対する考え方、住宅に掛ける金額や住宅ローンの組み方など、何らか共感する部分がある筈だ。その住宅会社の家づくりに対する考え方に一切、共感しない人は、そこで家を建てないだろう。価格だけで住宅を選ぶ人も、ローコストで家を提供するという住宅会社の方針には共感している。
つまり、共感しない客層を相手にしても仕方がない。共感する客層だけを相手にすれば、効率が良いということだ。
如何に客層を絞るか。InstagramやWEBサイトは、格好の媒体だ。広告費を掛けなくても、SNS等で自社の考え方(に沿った画像など)を発信していくことで、自社に共感した客層が集まる。


当然ながら、共感しない客層は減っていくが、いずれにせよ契約にならない客層なので気にすることはない。重要なのは、明確に他社との違いを出せるかどうかだ。違いが明確であれば、共感した客層に提案するのは難しくない。営業も設計も無駄なプラン作成が減り、成約率も上がる。
広く浅く集めるのではなく、狭く深く集客をするために、客を絞ろう。但し、絞り過ぎて誰もいなくならないように。

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ALEX

ALEX

住宅会社・工務店の経営コンサルタント。経営・人事・財務など、中小企業の経営面でのアドバイスを行う。

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