名簿取得単価が年々高くなっており、費用対効果が重要になっている。どの施策が最も効果的なのかを比較する指標はないだろうか。
集客コストの増加
家を建てる人が減っている。受注を確保するために、無理やりに人を集める住宅会社が多いため、集客単価が跳ねあがっているという話をよく聞く。
完成見学会の来場予約は、当初はクオカード500円分など慎ましいものだったが、最近ではAmazonギフト券20,000円という住宅会社も出てきた。地方の工務店では、5,000~10,000円くらいが一般的だろうか。
インターネットを使った集客もコスト増が続く。かつては、1組@20,000円くらいで集客できていたが、今では@100,000円程度になっている地域もある。広告費を使わず、SNSを使った集客も有効ではあるが、それに関わる人件費の方が広告よりも高くついている工務店も少なくない。
どこまで広告費用をかけて良いものか。どの施策が一番効果があるのか。それを見極めるのが、マーケティングROIである。
マーケティングROIとは
ROIとは、「Return on investment」の略で、投資した費用からどれくらいの収益が得られたのかを表す指標。「投下資本利益率」や「投資収益率」とも呼ばれる。
ROI(%)=利益額÷投資額×100
例えば、100万円を投資して150万円の利益を得た場合のROIは、150万÷100万円×100=150%となる。ROIの数値が高いほど投資効果が高いと判断する。マーケティングROIは、広告費を投じたことにより増加した分の利益を、広告費で割り返して計算する。
ROI(%)=(広告による増加粗利-広告費用)÷広告費用×100
なお、数年間に亘って利益が出る事業の場合は、未来の利益も割引率を使って正味現在価値で計算するが、住宅では1回の受注による利益で計算した方が実態を反映しやすい。
住宅でみるマーケティングROI
多くの工務店では、名簿単価を把握している。1件の来場予約あたりの単価や資料請求による名簿取得単価など、企業毎に重視している指標があるだろう。
SNS広告に50万円を投じて、5件の来場予約が取れたら、来場予約による名簿取得単価は、@10万円という計算だ。この単価を毎月集計しておけば、過去と比較して取得単価がどのように変化しているか、どの集客施策が反応が良いか等々を見ることができる。
しかし、名簿取得単価だけを見ていると、判断を誤ることがあるため、マーケティングROIを併用すると良い。
例として3つのパターンを比較する。(A)他社との合同イベントで集客、(B)送客してくれる相談カウンターで集客、(C)完成見学会で集客の3パターン(図1)。いずれも成約数は、1棟。3,000万円の住宅で粗利20%、600万円で計算。相談カウンターは、売上3,000万円の5%を広告費(成約手数料)とした。
名簿取得単価で見れば、大きな集客イベントを行った(A)合同イベントが最も低い。但し、イベントの「物貰い」も含むため、成約率は低くなり、ROIは200%に留まる。(C)見学会の来場予約では、ROIは500%となり、最も投資対効果が高い結果となっている。
無論、図1は仮の数字であるため、どのような場合でも見学会が最もROIが高いという話ではない。実際に自社の数値を入れて、どのような施策があるのかを確認してもらいたい。
現場の感覚としては、何となく分かっていることも、改めて数値として見ることで理解が深まる。どのような集客施策なら、有効な名簿が集められるのか比較検討する際に、感覚だけでなく数値でも判断できるようになるだろう。
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