唐様で書く三代目。優秀な第三世代社員が工務店を潰す。

工務店三代目

急成長していた工務店・住宅会社が、突然売上が伸びなくなることがある。地元では有名な工務店となり、有名大学の新卒も採用できるようになってきたのに、なぜか売上が伸びない。原因は何だろうか。

◆唐様で書く三代目
江戸時代の有名な川柳に「売り家と唐様で書く三代目」というものがある。
初代(創業者)はその財を築くために無我夢中で働いて、文字を習う暇もないほどであったが、二代目や三代目はその財産を使うばかり。そして創業者の苦労を知らない三代目が放蕩や商売の仕方を間違うことで、自分の家しか財産が残らなくなってしまう。
ついに、その家までも手離さなければならなくなり、暇と金がある時に身につけた腕で「売り家」と唐様の洒落た書体で書く。創業者の忍苦を忘れて、孫の代で財産を使い果たすという皮肉を込めた川柳である。

これは経営者の三代目を詠んだものであるが、成長著しい企業では「社員の三世代目」にも当てはまるだろう。
創業時のメンバー(第一世代)は創業者と同じ感覚でゼロからビジネスを立ち上げる苦労を共にする。ビジネスが軌道に乗り始めた頃に採用する社員(第二世代)は、創業者と同じ感覚を維持している第一世代の叱咤激励を受けながら、売上を急拡大していく。そして、企業が大きくなり安定成長になる頃に第三世代が入社してくる。第三世代は、総じて高学歴で優秀である。

しかし、顧客や制度が有ることが当たり前の「安定した会社」に入社したつもりの第三世代は、上手に活用しないと川柳と同じようになる。完成見学会を開いても知名度がなく数人しか集まらなかった経験をしている第一世代からすると、来場者カードに固執しない第三世代は、優秀ではあるが貪欲さに欠けると感じるものだ。

企業が完全に安定することはない。常に新しいことに挑戦し、成長していかなければ企業は衰退する。「安定した会社」に入社したつもりの第三世代の社員をいかに更なる成長に挑戦させるか、経営者の腕の見せ所である。

では、どのように第三世代を新たな挑戦に向かわせるか・・・それは次回

この記事の著者

アバター

ALEX

住宅会社・工務店の経営コンサルタント。経営・人事・財務など、中小企業の経営面でのアドバイスを行う。

この著者の最新の記事

関連記事

ページ上部へ戻る